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世界の人事トピックス
戦略人事の考え方からみた「戦略論」(1)
今回は、戦略人事(人事は戦略実現のためにあるという考え方)の第一歩として、そもそも論として経営戦略の立て方について述べてみる

今回は、戦略人事(人事は戦略実現のためにあるという考え方)の第一歩として、そもそも論として経営戦略の立て方について述べてみる。
1回は、Baldwin H. Tom氏の論考を紹介しよう。題して、「最初に戦略的に思考することが、中期経営計画を作るより先!」をお送りする。私も経営企画を担当したことがある。面白くもあり面白くもなしの仕事?結局担当に振るだけで自分はまとめるだけ?彼の主張はこうだ。いきなり経営計画のフォーマットの空白に数字入れを始めてみたりするのはやめよう、エネルギーを使う割には効果が少ない疲れる仕事からきっと解放されるだろう。

経営計画作成を完遂するため良い方法とは?まず、休暇旅行プランを思い出して欲しい。旅行本をみたりパンフレットを見たりでこれから出かける場所を楽しく想像するところからはじまる。つまり休暇旅行のプランを練ることに多くのエネルギーを投資するのだ。では経営計画のエネルギーってナンだろう。どんなことができるかな?という可能性を考える創造的な思考が欠けているとは思わないか?往々にして実際の経営計画作りの「作業」の前にあまり「考える」ことをしないことが多い。それが問題だ。しかもこの思考と探索の時間にステークホルダーも招待して一緒に考えることが、可能性を間に見える形にして計画をうまく実施に移すための新機軸を生み出すコツだ。多くの関係者が集まれば集まるほど多くの感情や知的エネルギーが投資され、それが成功につながる鍵になる。

戦略的な思考と探索とは?
経営計画は、単なる現状の「増分」リストではない。少なくとも20%分の「a-ha」(=あ、わかった、なるほどね)という何かしら新しいものがなくては。そうでなければ右肩上がりの「増分」だけなら現状維持以上のものではない。経営計画前段階のこのときこそ創造的で革新的な(innovative=不連続な成長)をもたらす重要な瞬間であり、悩まずに刺激にあふれた最も楽しい経営計画作成のひと時なのだ。新しい考えを思いつけ、探索しろ、そしてそれを企業の成長目的に合致させろ。

思いつけ!:この段階ではブレーンストーミング状態で結構だ。どんなものでもよい、クレージーなものも含めて。そのためのガイドとなる質問を書き出してみよう。
1. 貴社の業界のトレンドは?
2. そのトレンドを前提に、では貴社の最高の製品に新しいものを+するとしたら何を3つ追加しますか?
3. そのトレンドを前提にして、どの製品やサービスを変えたり止めたりします?
4. そのトレンドを前提にして、今どんな新製品や新商品を頭に描いています?

探索しろ!:その考えを成功の極みにきたとしたらどんな姿になるか、想像してごらんなさい。いいですか?この段階では実現可能性を議論したり経費を考えたりすることはご法度です。そういう障害については次の段階で考えればいい。またしても、そのためのガイドとなる質問を書き出してみよう。
1. 何が優れたアイディアなのか、どういう基準でみていますか?
2. 実行したとしたら、どのアイディアが貴社の事業と他と区別できるものですか?
3. 実行したら、それによる影響は?(良い影響も悪いインパクトもどちらも)もし実行しなかったら、何か影響ありますか?今貴社の製品やサービスに少なくとも20%価値を付加できるでしょうか?勿論20%は仮の数字ですが、何かしら数字を考えてみてください。今後12ヶ月でビジネス環境はどう変るでしょうか?このゴールはこの変りつつある競争環境をしのぐものである必要がありますよ。

経営計画の策定:「思いつけ」「探索しろ」は、戦略面だが、この経営計画策定はむしろ戦術面である。この段階で、財政的裏づけだとか経営資源の配分だとかの諸問題は経営計画にどのアイディアをもちこむかの現実論を議論しなくてはならない。
1. コスト
2. 新サービス完遂のために必要な時間軸
3. 現在の製品・サービスとフィットするかどうか
4. どのていどの成長性と収益性が見込めるか

この計画段階で始めてよく使われるSWOT分析、競争分析やリソース分析が必要になる。SWOTのうちopportunitiesは、すでに「思いつけ」「探索しろ」の段階で議論済みのはずである。
1. そのアイディアは会社のミッションに短期的に合うのか、それとも中長期的か?
2. 時間、人材、資源は十分か?
3. 実行されてどのアイディアがもっとも投資見返りが大きいか?
4. 実行を成功に導くに一番必要なものは人の要素か、技術か、それとも資金か?

戦略思考と経営計画策定のために誤りを防止する3つの重要なことを伝える。一つは、あなた自身(強みと弱み)顧客は何を求めているか(機会と脅威)そして何のためにあなたは働くのか(目的と使命)だ。この3つの輪が重なるところこそ、貴社だけが為しうるユニークな成功への扉となる。他社ではできない仕事なのだから。
この他社との差別化をどうか忘れないように。実際のところ経営計画の策定は、この差別化手段そのものだ。もし経営計画を完全な詳細項目を詰め込んだ公式書類作成と捉えずにこういう「仕事のガイド」と捉えることができたなら、成功確率はぐっと高まるだろう。